犬と猫で増えている食物アレルギーや食物過敏症。原因になりやすい食べ物はなんだと思いますか?
2013年の報告によると、犬と猫のいずれでも、牛肉と乳製品(牛乳)が圧倒的に多く、合わせて50%以上を占めています。
では、それぞれの内訳を見てみましょう。
犬の場合
過去45年間にアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、日本の獣医学分野で報告された19本の症例報告や研究のまとめ。計330頭。
このほか、ラム肉(4.8%)、豚肉(4.2%)、魚(3.6%)、トウモロコシ(3.0%)、七面鳥(1.8%)、米(1.5%)、鴨肉(0.6%)が報告されています。
猫の場合
過去10年間にアメリカ、ヨーロッパ、ニュージーランド、日本の獣医学分野で報告された10本の症例報告や研究のまとめ。計56頭。
このほか、小麦(5.4%)と鶏卵(3.6%)も報告されています。
論文情報
Roudebush P. Ingredients and foods associated with adverse reactions in dogs and cats. Vet Dermatol. 2013 Apr;24(2):293-4. doi: 10.1111/vde.12014. Review. PubMed PMID: 23413825
※著者は米国ヒルズペットニュートリション定年退職者。
獣医師のコメント
牛肉と乳製品以外は、ペットフードによく使用されている原材料が原因になっています。犬も猫もある程度の期間にわたって食べていた食品に対してアレルギーを起こしやすいため、ここに記載されている割合は、それぞれの食材がペットフードに使用されている頻度を反映しているともいえます。また、ペットフードには、アレルギーの原因ではないけれども免疫系のバランスに影響することでアレルギーを起こしやすくする物質(グルテン、防腐剤、増粘剤など)が含まれていることも影響しているのでしょう。
では、手作り食を食べている犬猫ではどうかというと、やはり牛肉と乳製品が原因であることが圧倒的に多くなっています。体質では「木」タイプの犬猫が食物アレルギーになりやすい傾向にあります。ただし、これらのケースの多くは、成長してから手作り食に切り替えています。
実は、遺伝的な素因のある品種を除くと、子犬・子猫の時から手作り食を食べ、いろいろな食材を経験した犬猫は、成長してからアレルギーや過敏症を起こすことはほとんどありません。これは、免疫がまだ発達途中である幼い時期に、さまざまな食べ物を経験させることで「この食べ物は食べても大丈夫」と免疫系に認識させることができるためだと考えられています。
また、人のピーナッツアレルギーでは、母親が妊娠中にピーナッツを食べていた方が、生まれた子供がピーナツアレルギーになりにくいことが数年前に明らかになりました。「避ける」治療から「食べる」早期予防へ、アレルギー対策にも発想の転換が重要になってきています。