雨が降り続く梅雨の季節は、私たち自身もなんとなく重苦しさを感じるものですが、犬と猫にとっても体がだるくなりやすい時期です。
この湿気の多い時期の体調不良の原因は、中医学で湿邪(しつじゃ)と呼ばれるもの。体内の代謝活動と密接に関連しています。
湿邪は2種類ある
湿邪には2種類があり、梅雨の湿気のように環境中に存在して体の中まで作用を及ぼすものを外湿(がいしつ)と呼びます。現代医学では、大気中の湿度が高くなり皮膚表面から水分が蒸発しにくくなることによって余分な水分が体の中に溜まるほか、この時期特有の気圧の変化や激しい気温差、カビといった外的要因が皮膚や末梢神経、自律神経に直接的・間接的に影響を与えると考えられています。
犬と猫における外湿の代表的な症状は、水分や体液の停滞と貯留、神経痛や関節痛、そして分泌物の多い皮膚炎です。これに冷気や熱気、体内の悪性因子が加わるとホットスポット、胆嚢炎、肝炎、膀胱炎、腫瘍などが発生しやすくなります。
この時期の健康管理のポイントは、停滞した水分の排出を促すこと。体を軽くすると同時に、外的要因に反応して体内で生成した生理活性物質の排泄を促すことができます。
湿邪にはもう一つ胃腸の弱りによって体の中から生じる内湿(ないしつ)があります。雨の日におとなしくなったり、病気の症状が悪化する子はこの内湿が溜まっている可能性大。私たちは、医学的にはまだ検査で確認することのできない早期の代謝異常や前炎症状態と捉えています。
胃腸機能の低下に伴い、ウンチが柔らかくなる、吐くといった消化器症状が見られるのが特徴です。また、食べ物から栄養をきちんと取り出してエネルギーに変えて全身に送ることができなくなるため、倦怠感や全身の臓器の機能低下を招き、血液や水分の巡りも滞りがちになります。
もともと内湿状態にある犬猫は、外湿の影響も受けやすく、外から入ってくる湿邪をうまく取り除くことができずに、さらに胃腸が弱まり内湿が蓄積されていくという悪循環を招くことになります。
そのため、梅雨の時期には特に病気がない子でも胃腸を健康に保ち、内湿を溜めておかないことが大切なポイントです。
犬と猫の胃腸の弱りの原因には、体質、加齢など、さまざまなものが考えられますが、最大の原因は体質に合わない食事です。どのような食事が適しているかは一頭一頭の体質によって異なりますが、小麦、米、芋類などのでんぷん質の多い炭水化物食品の摂りすぎはどの犬猫にも共通して見られる原因です。特に猫は完全な肉食動物として進化してきたため、炭水化物食品の消化に関与する遺伝子が少なくなっています。この時期は特に注意してあげましょう。また成犬・成猫では、乳糖をうまく分解することができないため、乳製品も内湿を生む原因になります。
梅雨におすすめの旬の食材
- 鶏肉
- すずき
- かつお
- 生しいたけ
- しょうが
- キャベツ
- いんげん
- オレンジ・みかんの皮
- にんにく
- アニシード
- 大葉(しその葉)
- ジャスミンティー
蒸し暑い日に調子が悪くなる子は、脂っこいもの(特に豚肉)を避けるようにしましょう。
冷えが気になる子・消化器症状が気になる子は、生ものを避け、温かい食事を用意してあげましょう。
- 鶏肉
- ラム肉
梅雨の薬膳メニュー
ペットフード派の方でも気軽に取りれられる梅雨の時期におすすめのハーブ。
捨てないで活用!トウモロコシのヒゲ家族全員一緒に楽しめる人間・犬・猫共通の簡単レシピ。
スズキと椎茸の包み焼き自然食派獣医師の間で受け継がれてきた犬猫用レシピ。特に蒸し暑い日におすすめです。
ダック & 玄米 キドニー & タケノコ人用にはイワシのつみれ汁として、犬猫には主食として作り置きを。
いわしボール