レクチンを含む食物
現在、有害と考えられているレクチンを含む食材は次の通りです。犬猫ではデータがまだほとんどないため、人で避けた方がよいとされる食品の中から獣医師の経験に基づいて犬猫でも避けた方がよいものを選んで掲載しています。
かぼちゃの種は昔から駆虫薬として犬猫にも使用されており、食物繊維による掃除効果と思われてきましたが、レクチンによる殺虫作用もあるのかもしれません。
穀類
- 小麦
- とうもろこし
- 白米・玄米
- 大麦
- オーツ麦
- ライ麦
- そば
豆類
- 大豆・豆腐製品
- えんどう豆
- そら豆
- ひよこ豆
- レンズ豆
野菜
- いんげん
- 瓜類
- 大麦若葉
- かぼちゃ
- きゅうり
- 小麦若葉
- じゃがいも
- ズッキーニ
- 唐辛子
- トマト
- なす
- ピーマン
- もやし
果物
- メロン
- スイカ
- クコの実
ナッツ・種子類
- ピーナッツ
- カシューナッツ
- キノア
- チアシード
- かぼちゃの種
- ひまわりの種
油脂
- 大豆油
- グレープシードオイル
- コーン油
- ピーナッツ油
- 綿実油
- サフラワー油
- ひまわり油
- キャノーラ油
※注:ここに掲載されていないからといってレクチンを含んでいないわけではありません。
2018年7月、米国医薬品局動物医薬品センターが豆類やじゃがいもを多量使用したペットフードと犬の拡張型心筋症の因果関係の調査を開始しました。
肉や魚なら安全?
さて、手作り食を与えている方はここで犬猫は肉が主食だから大丈夫…と思われているかもしれません。でも残念ながら、そうとは言い切れないのです。お肉になる牛や羊、豚、鶏はレクチン濃度が高い穀物・豆類を使って育てられているからです。穀類を使って太らせることで霜降り肉のような脂肪の多い柔らかい肉ができあがるのです。しかし、家畜はもともと穀類を主食にしていたわけではないため、レクチンを消化することができず、レクチンはそのままお肉(筋肉)に残り、私たちも犬猫もそれを食べているのです。
したがって、牛や羊の場合は牧草など、家畜本来の食性を生かして生産された肉でない限り植物レクチンが含まれている可能性が非常に高くなります。
魚の場合も同じです。養殖魚の飼料には大豆タンパクや穀類、鶏肉(!)などが使用されている場合があるため、天然物を探す必要があります。
犬猫のためのレクチン除去レシピ
現在、私たちが処方しているメニューです。
- 犬は肉類と野菜類を同量か野菜類をやや少なめに。猫は肉類8〜9割、野菜類1〜2割程度におさえて。レバーなどの内臓肉(5%ずつ)、卵(5%)、骨(10〜25%)も同じように選ぶ。
- 末期腎臓病などでタンパク質の量を制限しており、炭水化物でカロリーを補う必要がある場合は、さつまいも、きび・あわ、里芋、長芋、ソルガムパスタ、タピオカ粉などを使用。
- 全粒穀物をやめて便秘した場合は代わりにサイリウム(植物性食物繊維)や無添加無漂白ローハイド(動物性食物繊維)を与える。
- この他、犬猫の体質や疾患、住んでいる地域に合わせて食材の変更を行なっています。
レクチンと遺伝子組換え作物
遺伝子組換え作物に注意する理由はたくさんありますが、レクチンもその一つです。レクチンには殺虫効果や殺菌効果があるものがあるため、遺伝子組換えによって作物にレクチンを組み込むことで、虫害や細菌感染に強い作物を作ることができます。つまり、ただでさえレクチンの量が多い植物にさらに別のレクチンを加えているのです。殺菌作用のあるレクチンは腸管の善玉菌も殺してしまいます。
食事からレクチンを除去するには、遺伝子組換え作物も避ける必要があります。
このように現代の食料生産システムではいたるところにレクチンが潜んでおり、完全に避けることは不可能ですが、調理方法の工夫によりレクチンの量を激減させることができます。次はその方法をみてみましょう。