レクチンを減らす方法
完全ではありませんが、次のような方法で食物に含まれるレクチンの量を減らすことができます。
- 加圧調理する。レクチンの一部は炊飯器などの圧力釜で圧力をかけて加熱することで壊すことができます。ただし、小麦や大麦、ライ麦、オーツ麦などのレクチンは壊すことができません。
- 発酵させる。発酵に使う菌がレクチンを消化分解してくれます。
- レクチンに結合する物質を食事と一緒に与える。N-アセチルグルコサミン、ブラダーラック(海藻)、D-マンノース、オクラエキス、シアル酸などが消化管内でレクチンと結合し、レクチンの吸収を防ぐことがわかっています。
- 善玉菌を増やす。腸内の善玉菌はレクチンを分解することができます。また、腸細胞に必要なエネルギー源を作り出すことで腸細胞の正常な機能を促し、レクチンによる腸バリアの破壊を防ぎます。プロバイオティクス(善玉菌)とプレバイオティクス(善玉菌のエサ)を食事やサプリメントで与えましょう。
- 旬の野菜や果物のみを使用する。旬の時期に冷凍保存されたものもOK。
グルコサミンは獣医領域でも関節炎の治療に使用されていますが、関節に直接働くというよりは食事中のレクチンを除去することで関節に蓄積するのを防ぐ役割を果たしているのかもしれませんね。
低レクチンペットフード
手作り食はハードルが高すぎると感じる方にお勧めしている低レクチンフードです(※注:本サイトはこれらの製品の製造元とは一切関係なく、これらの情報を掲載することで利益を得るものではありません)。
最後に
病気の原因としてのレクチンの研究はまだ始まったばかりです。人のレクチン除去治療では、米国の心臓外科医 Steven Gandry 氏がもっとも有名でしょう。今年発売された著書 Plant Paradox(=植物のパラドックス。邦題「食のパラドックス」)では、冒頭で述べた疾患のほか、ニキビ、シミ、乾癬、アレルギー、脱毛、歯周病、認知症、うつ、線維筋痛症、骨粗鬆症、リンパ腫、パーキンソン病など非常に多くの疾患の治療にレクチンフリー食が使用されています。この著書の中でもやはりレクチンを食事から除去するだけでなく、腸管の健康(正常な細菌叢)を維持することの大切さや抗生物質・NSAIDの無駄な使用の危険性が強調されています。
レクチンの中には健康によいものもあります。例えばニンニクやニガウリに含まれるレクチンはその代表。自然療法でも使用されてきた食材です。さらに最近ではがん細胞だけを標的にして破壊するレクチンの研究も進んでいます。
雑食動物として進化してきた人間と肉食動物として進化してきた犬猫では、植物性食品に対する耐性も反応も異なります。そのため、人にとっては安全なレクチンも犬猫にとっては有害であるということも十分考えられますし、逆に人にとっては有害でも犬猫にはなんの作用もないものもあるかもしれません。
レクチン除去食が犬と猫にも同じように効果を発揮するのか。その答えを客観的かつ科学的に探るために、現在私たちはデータや体験談を集めているところです。
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