獣医師による手作り食・自然療法ガイド

乾燥から体を守る秋の薬膳

枯葉が舞い落ちる秋は、日に日に空気の乾燥が進んでいく季節。この時期は、特に影響を受けやすい呼吸器系の潤いを保ち、免疫力を強化する食材がおすすめです。漢方医学では、肺は皮膚や大腸の働きとも関わりが深いと考えられているため、肺を潤す食材は、この時期に悪化しやすいカサカサする乾燥性の皮膚病や空咳(猫の喘息やウイルス性呼吸器病)、便秘などの症状にも役立ちます。

また、これからやってくる冬に向けてエネルギーを蓄えることも重要。気温の低下に合わせて体を冷やしやすいローフードから胃腸を温める加熱食へ少しずつ切り替えを行っていきましょう。

おすすめの旬の食材

秋の薬膳に使用される食材は、蓮根、白きくらげ、山芋、白米など「白い」植物性食品が多いのが特徴です。でも、ワンちゃんと猫ちゃんには主食ではなく、お肉やお魚を補うかたちで与えるのがポイント。おやつとして活用するのもおすすめです。

主食には、体全体を潤おす作用がある牛肉、豚肉、鴨肉や冬に向けて胃腸を補ってくれる鶏肉、秋鮭、いわしなどがおすすめです。このうち、特に肺を潤おす効果が高いのが豚肉と鴨肉ですが、どちらも脂肪分が多すぎる傾向があるので、特にワンちゃんには気をつけてあげましょう。皮膚を潤おすイカ、タコ、ホタテなどの魚介類のトッピングもおすすめです。

また、この時期は気温が変わりやすくなっています。気温の変化や体質(暑がり、寒がりなど)に合わせて食材を選べるよう体を温める作用がある食材には(温)、温めも冷やしもしない食材には(中)、冷やす作用がある食材には(冷)を記載しました。

肺を潤おす

  • 豚肉(中)
  • 鴨肉(中)
  • 白米(温)
  • 白きくらげ(中)
  • 山芋(中)
  • 百合根(冷)
  • 生れんこん(冷)
  • クコの実(中)
  • 梨(冷)

肺の機能を補う

  • フワ(牛や羊の肺)(中)
  • にんにく(温)
  • しょうが(温)
  • にんじん(中)
  • アスパラガス(冷)
  • 松の実(温)
  • アーモンド(中)
  • 銀杏(中)

大腸を潤おす

  • じゃがいも(中)
  • くるみ(温)
  • ごま(中)
  • バナナ(冷)

冬に備えてエネルギーを蓄え免疫力を強化

  • 鶏肉(温)
  • 牛肉(中)
  • 秋鮭(温)
  • いわし(中)
  • さんま(中)
  • さば(中)
  • レバー(温・中)
  • きのこ類(中)
  • さつまいも(中)
  • れんこん(加熱)(冷)
  • 栗(温)
  • くるみ(温)

秋の薬膳レシピ

豚肉ときのこのココナッツミルク煮 いわしボール