獣医師による手作り食・自然療法ガイド

獣医が奨める猫のスーパーフード7選

自然のパワーがぎゅっと詰まったスーパーフード。猫のごはんにトッピングするだけで健康維持や老化防止に役立つ食材をランキング形式で掲載しました。ペットフード派の方にも手作り食派の方にもオススメです。

1位 内臓肉

レバー、ハツ、マメをはじめとする内臓肉は天然のマルチビタミン・ミネラル剤!内臓の機能に必要なさまざまな生理活性物質やシグナル分子も含んでいます。ペットの健康食品を一つだけ選べといわれたら、私たちは迷わず内臓肉をおすすめ。

レバー(肝臓肉)

ビタミンAが豊富で、ビタミンB群タウリン、手作り食に不足しがちなセレン亜鉛も補えます。

ハツ(心臓肉)

猫ちゃんに欠かせない必須栄養素のタウリンを含んでいます。オメガ6脂肪酸も補えます。

腎臓が弱りやすい猫ちゃんには特におすすめ。抗酸化栄養素のセレンが豊富で、コリンなども補えます。

鶏、豚、牛、羊など動物種によって栄養価は若干異なりますが、基本的な特徴は変わりません。特にペットフードを食べている子は、この3種類を少量ずつ混ぜるだけで見違えるようにイキイキと元気になります。

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だまされたと思って試してみて〜

漢方医学的にみると、レバーは血とエネルギーを補って全身の臓器を栄養で満たし、マメは腎臓を潤したり、高齢期に進む冷えを温めることで腎臓の機能を促進する作用があります。

腎臓病にはマメ、心臓病にはハツ、肝臓病にはレバーを

薬膳の基本

1日〜1週間分ずつ小分けして冷凍保存し、寄生虫を死滅させてから生で与えるのが理想的ですが、臭いが気になる場合やローフードの経験がない方は、少なめの水で軽く茹でてあげてください。その際、タウリンは溶け出してしまうため、ゆで汁も一緒に与えましょう。ビタミンB群は調理によって壊れてしまいます。

消化酵素や善玉菌プロバイオティクスを豊富に含むグリーントライプ(牛、羊など反芻動物の胃袋)もおすすめです。人の食用に売られているミノはこれらの成分が洗い流されてしまっているので、ペット用の製品を探しましょう。そのほか、膵臓、肺など入手できるものがあればぜひチャレンジを。

体重1 kgあたり1日1 gずつ(食事全体の5% または 体重の0.1%)

例)体重 5 kg の場合の1日量は・・・

  • レバー:5 g
  • マメ:5 g
  • ハツ:5 g

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内臓肉給与ガイド

2位 卵

卵はネコ科動物にとって大昔から欠かせない重要な栄養源でした。卵黄は、骨や免疫系の健康を守るビタミンDと脳の健康を守るコリンと脂質を含み、ビタミンEセレン、ルテインなどの抗酸化成分も豊富です。

卵白は、優れたタンパク質源で全種類の必須アミノ酸が含まれています。また、卵の殻も捨てずにとっておくと、自宅でカルシウムサプリメントを作ることができます。

猫ちゃんはゆで卵をそぼろにしたものを好む場合が多いですが、衛生面に気をつければ生のまま与えることもできます。生卵を食べてお腹がゆるくなったらこちらの記事を参考にしてください。

  • うずらの卵:1日1〜2個(殻ごと生で与えてOK)
  • 鶏卵:1/4〜1/2個

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3位 生の骨

肉食動物の猫ちゃんに欠かせないもう一つの健康食品が生の。猫は人間よりもたくさんのカルシウムを必要としていますが、一番自然に近い形で与えることができるのが骨と卵の殻です。カルシウムだけでなく、ヨウ素以外のほぼすべてのミネラルを補給することができ、骨髄には造血や免疫に必要な活性物質が含まれています。

猫ちゃんにおすすめなのは、鶏のネックや手羽、ドラムスティック。噛むことで歯と歯茎を丈夫にし、猫ちゃんの野生の本能を満足させることができます。

生で与える必要があるため、初めての方は必ず給与ガイドを読んでから与えてください。

ネック、手羽、ドラムスティックのいずれかを1日1本。

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骨給与ガイド生ものを与える際の注意点

4位 刺身

オメガ3脂肪酸DHAEPA)は猫にとって非常に大切な栄養素です。ガンや関節炎、皮膚病、腎臓病、心臓病などさまざまな病気の予防から免疫系の正常化、痛みの抑制まで、ありとあらゆる場面で活躍しています。

イワシ、サンマ、サバなどの青魚や脂ののったサーモン、ハマチなどに多く含まれています。

最近のペットフードにはオメガ3脂肪酸源として魚油を使用しているものが多くみかけられますが、魚油は空気に触れると酸化し、かえって健康の害になるため、こういったペットフードを探すよりも、刺身や魚油サプリメントをトッピングしてあげたほうが効果が高いでしょう。

また、猫ちゃんは脂肪分の多い魚ばかりを食べていると、脂肪織炎を起こすことが知られています。脂ののった刺身は主食ではなく、トッピングとして与えましょう。主食の場合は週1〜3回を目安に。

  • 刺身:トッピングとして好きなだけ。主食なら週1〜3回。
  • フィッシュオイル、サーモンオイル、クリルオイル 、イガイオイルなどのサプリメントで与える場合は、DHAEPAの合計量で1頭あたり10 mgからスタート(治療の場合は50〜100 mg 以上)。

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うちのコに合うオイルはどれ?(動物性油脂編)

5位 動物性繊維

私たち人間はお腹の調子を整えるために野菜などの食物繊維を摂りますが、肉食動物である猫ちゃんに同じ役割を果たしてくれるのが動物性繊維。つまり動物の皮や腱、軟骨に含まれる繊維です。鶏肉の皮軟骨足、牛スジ肉をご飯に混ぜたり、無添加無漂白豚耳などの噛むおやつを与えるとよいでしょう。

野菜や猫草、ペットフードに含まれる植物由来の繊維にも毛玉や便秘などを物理的に解消し、糖尿病などのリスクを抑制する効果がありますが、動物性繊維がより優れている点は、これらの作用に加えて腸内環境を整える力があることです。ネコ科動物の研究では、精肉を与えるよりも、皮を含めた動物の肉を丸ごと与えた方が腸細胞の栄養になる脂肪酸の量が増え、インドールなどの有毒物の生成が減ることが示されています。

食事全体の1〜2割を目安に。

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6位 抗酸化作用の高い野菜・果物

あらゆる病気が酸化と炎症から始まるといっても過言ではありません。その酸化や炎症から体を守ってくれるのが野菜や果物に含まれるビタミンやフラボノイド、ポリフェノール等のフィトケミカルです。

猫ちゃんは完全な肉食動物なので基本的には野菜は必要ありませんが、これらの抗酸化成分の効果を利用しない手はありません。生ではなく軽く茹でた野菜を刻んでトッピングしてあげると、これらの成分が利用されやすくなります。

おすすめの野菜・果物
  • アブラナ科の野菜:ブロッコリー、ケール、キャベツ、芽キャベツ、カリフラワー、水菜、カブ、クレソン、大根など
  • そのほかの野菜:にんじん、アスパラガス、セロリ、しいたけ、舞茸など
  • 果物:ブルーベリー、りんごなど(果物は生のままでOK)

ミキサーで混ぜてピューレにすると消化しやすくなりますが、糖分も吸収されやすくなります。糖分の多い果物を使う場合は、食後に血糖値が上がりやすくなり、肥満や糖尿病などのメタボの原因になるので気をつけて。

自分たちが食べる野菜を調理するついでに猫の分を切り分けて冷蔵または冷凍保存しておくと便利です。野菜や果物を切らしてしまった時や時間がない時のために、アスタキサンチンやビルベリーなどの抗酸化サプリを常備しておくのもいいでしょう。前述の卵の黄身にもルテインやビタミンEなどの抗酸化成分が含まれています。

食事全体の1割を目安に。

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7位 ターメリック

カレーのスパイスとして有名なターメリックウコンは、抗炎症、解毒、免疫調整、抗腫瘍、胃腸機能増強など、幅広い作用が報告されているハーブです。有効成分のクルクミンは脳にも届くことがわかっています。

毎回の食事にぜひふりかけて欲しいスパイスですが、難点は吸収されにくく、ウンチがにんにく臭くなる場合があること、タオルやカーペットに付くとシミになることです(吐きやすい子は注意!)。

ターメリックからクルクミンを抽出したサプリメントを代わりに与えることもできますが、クルクミンは間違った実験結果を出しやすいことが報告されており、その真の効果については現在疑問視されています。サプリメントを利用する場合は、三種類のクルクミノイドすべてを含む高吸収型を選びましょう。

  • 小さじ1/8〜1/4杯を食事にふりかけます。便の臭いが気になる場合は臭いがしなくなるまで少しずつ減らしてください。
  • クルクミンサプリメントで与える場合は、体重1 kgあたり10 mgから

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ターメリック (ウコン)

その他

人やとはちょっと違う猫のスーパーフード、いかがでしたか?

今回はペットフードや手作り食で不足しやすい栄養素を補うことができ、効果の高いものを選んで紹介しましたが、きのこエキス(特にコルディセプス)、スピルリナクロレラ、ボーンスープ、酵母フレーク(ニュートリショナルイースト)、しょうがなど、猫ごはんのトッピングに使えるスーパーフードは他にもたくさんあります。ぜひ毎日の食事に少しずつ取り入れてみてくださいね。

スピルリナクロレラ癒しのボーンスープしょうが