獣医師による手作り食・自然療法ガイド

手術の前に服用を中止するハーブ

インターネットで手軽にハーブやサプリメントが購入できるようになったこの頃。愛犬や愛猫の健康管理にハーブを取り入れることはごく当たり前のことになりましたが、大した影響はないとかかりつけの獣医師に報告するのをついうっかり忘れていませんか?

特に全身麻酔下での検査や手術を受ける際には、獣医師に知らせておくことが重要です。今回は、私たちが手術の前に使用の中止をすすめているハーブとサプリメントをリストアップしました。術後の回復を促すハーブも合わせてご紹介します。

血液凝固能に干渉する可能性があるもの

いわゆる「血液サラサラ」効果のあるハーブや機能性栄養素は、血液が固まる機能を低下させるため、術中や術後に出血しやすく、止血に時間がかかる場合があります。

単独で高用量を与えていない限り事故が起こることは稀で、持病や個体差にも左右されますが、万一を考えて手術の1週間前から中止しましょう。抜糸が終わったら再開することができます。

  • イチョウ葉
  • 当帰
  • オタネ(高麗)ニンジン
  • 柴胡
  • ソウパルメット(ノコギリヤシ)

漢方薬にこれらの成分が含まれていることがありますが、少量なので心配はありません。

麻酔薬や鎮静薬の作用に影響を及ぼす可能性のあるもの

不安症や恐怖症などの行動問題のためにリラックス効果や鎮静作用のあるハーブを使用している場合も注意が必要です。麻酔が効きにくくなったり、逆に効きすぎて覚醒が遅くなることがあります。やはり手術の1週間前から投与を中止するか、手術担当医または麻酔科医に報告しておきましょう。

  • カヴァ
  • バレリアン
  • イチョウ葉
  • ゴールデンシール
  • セント・ジョーンズ・ワート
  • CBDオイル

術前〜術後におすすめのハーブ

術後の回復を促す安全性の高いハーブです。

  • ミルクシスル:肝臓や腎臓を保護し、麻酔薬の負担を軽減。手術の1週間前から開始し、2週間後くらいまで与えましょう。
  • エキナセア:術後の抗菌・免疫力アップに。
  • リコリス、アシュワガンダなどのアダプトジェン:手術による身体的・精神的ストレスの緩和に。
  • 人参養栄湯または六君子湯:術後の回復が遅く、食欲が戻らない場合に。術前の経過が長く、慢性化して体力が消耗している子にもおすすめです。
  • 逍遥散:術後に肝酵素値が上昇し、ミルクシスルだけでコントロールできない場合に。