米、小麦、トウモロコシ、豆類などの植物性食品の与えすぎは、ペットフードで病気になる犬猫があとを断たない大きな原因です。ジュクジュクした目ヤニや耳アカ、肛門嚢の詰まり、繰り返す膀胱炎など、一見何の関係もなさそうなことも炭水化物が原因になっていることがよくあります。せっかくの手作り食ですから、同じ間違いを繰り返さないようにしましょう。
肉食動物から発生した犬猫の主食として適しているのは、肉や魚、卵などのタンパク質食品です。エネルギー源として効率よく利用されるようになっており、犬も猫も必要な糖分をタンパク質や脂質から作り出すことができます。
それに比べると炭水化物(糖分・でんぷん・食物繊維)を処理する能力は私たちよりもずっと低いため、過剰摂取は消化器系ひいては全身の負担になります。
消化器系の健康 = 長寿 + 獣医いらず!
精製された穀類(白米、小麦粉など)やジャガイモなどのでんぷん質の多い炭水化物食品や糖類は、適量であればエネルギー源として役に立ちますが、与えすぎると食後に血糖値を急上昇させ、肥満や糖尿病、クッシング症候群などの代謝性疾患(メタボ)を起こしたり、細胞レベルの炎症を全身に起こしてやがては関節炎、内分泌系疾患など、さまざまな炎症性疾患にいたります。糖質はがん細胞が好む栄養素でもあります。
ペットのメタボについて考えよう食物繊維も炭水化物の仲間で、精製されていない全粒穀物や野菜に多く含まれる成分です。動物に吸収されやすい糖分やでんぷん質とは異なり、消化吸収されにくいため、大腸まで届いて老廃物を掃除したり、腸の善玉菌のエサになることで腸内環境を整えてくれる作用があります。
ただし、近年になって全粒穀物や一部の野菜にはレクチンという健康に悪影響を及ぼす成分が含まれていることがわかっているので、健康によいからといって与えすぎは禁物です。
ほどほどがポイント!
野菜や果物はどうなるの?
野菜や果物には抗酸化成分や抗炎症成分を豊富に含むという大きな利点があります
野菜や果物にも糖質や食物繊維が含まれています。でも「抗酸化成分や抗炎症成分を豊富に含む」というそれを上回る大きな利点があります。上手に選んで手作り食に活かしましょう。
- 猫 犬よりも繊維質の消化や糖質の処理が苦手なので量を控えめに。軽く加熱して細かく刻んだり、ミキサーで混ぜると消化管への負担が少なく吸収されやすくなります。
- 繊維質に弱い犬 ミキサーで混ぜると胃腸への負担が軽くなります。
- 色が濃い緑黄色野菜を選ぶ ブロッコリー、小松菜、ケール、パセリ、人参など
- 糖質が少なく抗酸化成分が豊富な果物を選ぶ ブルーベリー、クランベリーなどのベリー類
- レクチンを含まない野菜や果物を選ぶ