獣医師による手作り食・自然療法ガイド

獣医師いらずになる理想の週間メニュー

手作り食を食べているワンちゃん猫ちゃんでも、全身状態や健康診断結果がいつも優秀な「獣医いらず」の子とそうでない子がいます。その違いはいったいどこに?

健康な子が食べている手作り食の共通点、それはバラエティ一貫性新鮮な食材、そして温かい食事です。

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バラエティ

さまざまな食材を取り入れることで栄養の偏りを防ぐ

肉、魚、卵、内臓肉、野菜、果物、発酵製品など、さまざまな種類の食品を取り入れましょう。例えば、同じ肉でも、鶏肉は低脂肪でアミノ酸バランスに優れ、ラム肉は良質な動物性脂肪を供給、レバーはビタミンAなど他の食材ではなかなか補えない栄養素が豊富…と、それぞれ異なる特長があります。まんべんなく取り入れることで、それぞれの短所を補い、長所を生かすことができます。

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獣医師より

最近、犬猫の 食物アレルギー が増えています。同じ材料ばかりに偏ることなく、さまざまな食材を取り入れることである程度の予防が可能です。ただし、アレルギーになってしまった時のことを考えて、1~2種類の肉や魚を与えずに取っておくことがおすすめ。例えば、豚肉、鴨肉、七面鳥肉、馬肉、ジビエなどは普段は与えずに、食物アレルギーが疑われた際の療法食/診断食用に取っておくといいでしょう。

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一貫性

必要なミネラルやビタミンを確実に給与

食品だけでは補えないカルシウムやミネラル、ビタミン、脂肪酸を確実に給与する必要があります。特に内臓肉や生骨を与えていない場合に重要です。でも、薬とは違って、1日や2日くらい忘れても心配することはありません。1週間くらいの単位で必要量を満たしていれば大丈夫です。

Paw 3
新鮮な食材

加工されていない旬の食材を利用

加工されていない新鮮な食材は、抗酸化成分、抗炎症成分、ミネラル、ビタミン、生理活性物質など、数え切れないほどの栄養素を自然の形で含んでいます。野菜は旬のものを選ぶと、栄養価が高く、有害物の濃度も低くなります。

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獣医師より

多くの病気は酸化・炎症から始まります。新鮮な野菜や果物、ハーブに含まれる抗酸化成分や抗炎症成分を普段からどんどん活用することで、病気を積極的に防ぎましょう。

Pawsome !
温かい食事を与える

胃腸の冷えは万病のもと。獣医学教育では教えないこの当たり前のようなことが犬猫の健康を守る最大の秘訣でした。健康な犬猫の飼い主さんは誰に言われなくても実践しています。

そのちょっとした不調は冷たい食事のせいかも?温かい食事で愛犬と愛猫の健康を守りましょう犬と猫に必要な栄養素

自然派わんちゃん・猫ちゃんの食事をご紹介

実際に手作り食を実践している飼い主さまからアイデアをお寄せいただいています。

週間メニュー例

毎年の健康診断結果が優れており、全身バランスも非常によいワンちゃん・猫ちゃんの飼い主さまが実際に実践しているメニューをご紹介します。運動量や体重、体質によって食品やサプリの量は異なるので、ここに表示した量は目安として考えましょう。

体重 5 kg・9歳で健康な犬の例

  朝ごはん 夜ご飯
ゆで豆 200 g
鶏ひき肉 50 g
レバー 10 g(加熱)
ハツ 10 g(加熱)
マメ 10 g(加熱)
卵2個
ラム肉 60 g(生) サーモン刺身 60 g
牛ひき肉 50 g(加熱)
レバー 10 g(加熱)
ハツ 10 g(加熱)
マメ 10 g(加熱)
白身魚 60 g(加熱)
ラム肉 60 g(生) マグロ刺身 60 g
鶏胸肉 60 g(生) 卵2個
鶏ひき肉 50 g(加熱)
レバー 10 g(加熱)
ハツ 10 g(加熱)
マメ 10 g(加熱)
イワシボール2個
サプリ カルシウム 150 g
CoQ10
ターメリック
酵母フレーク
カルシウム 150 g
乳酸菌
オメガ3・6
ビタミンE
スピルリナ
酵母フレーク

これに加えて・・・

炭水化物(毎食大さじ1ずつ)
玄米雑穀ごはん、キノア

 

野菜(肉・魚・卵と同量)
ブロッコリー、カリフラワー、にんじん、ピーマン、かぼちゃ、キャベツ、スプラウトなど

骨のおやつ(1日おき)
生の鶏ネック 1本 または 生のラムリブ 1本

 

その他(しつけ用おやつ)
ゆでた鶏ささみ、レバーチップ

キーポイント

  • 複数の種類の肉・魚を曜日ごとにローテーション。卵や内臓肉も取り入れており、生食・加熱食(半生)のバランスがよい。
  • 安い時に多めに材料を購入し、1食分ずつ小分けして冷凍している。
  • 内臓肉は体重 1 kg あたり1日 1 g で計算し、2日おきにまとめて。
  • あまり活発な方ではなく、炭水化物を増やすと太るため、控えめにしている。
  • シニア期に入ってから、ターメリックやCoQ-10などを追加。
  • 月曜日の夜は消化管を休めるため絶食。

体重 13 kg・5歳で活発な成犬

  朝 + 夜ごはん
骨つき肉(鶏)300〜500 g
レバー・ハツ・腎臓肉 30 gずつ
刺身用のイワシ丸ごと 300 g
生卵殻ごと1〜2個
骨つき肉(鶏)300〜500 g
レバー・ハツ・腎臓肉 30 gずつ
白身魚・サーモン・青魚など 300 g
生卵殻ごと1〜2個
骨つき肉(鶏)300〜500 g
レバー・ハツ・腎臓肉 30 gずつ
余った食材を整理
トライプや膵臓、肺が手に入れば与える
骨つき肉(赤肉)300 〜500 g
レバー・ハツ・腎臓肉 30 gずつ
サプリメント ビタミンE
海藻
ケフィア
野菜・果物・ハーブペースト

キーポイント

  • 最小限のサプリメントでほとんどの必須栄養素を満たしている優れたメニュー。
  • 非常に活発な木タイプでキャッチボールを何時間やっても足りない。以前は赤肉中心で目が血走っていたが、鶏肉や魚を取り入れるようにしたら改善し、性格にも落ち着きが出てきた。
  • 約1.5〜2 kgの丸鶏を購入して解体、3〜4日分にわけている。
  • 今後、年齢にしたがって他のハーブやサプリメントを取り入れて行く予定。

体重 20 kg・12歳で健康な高齢犬

  朝ごはん 夜ごはん
第1週 牛肉 100 g
レバー 20 g
ハツ 20 g
白身魚 200 g
第2週 鶏ひき肉 150 g
レバー 20 g
ハツ 20 g
青魚 200 g
第3週 ラム肉 100 g
レバー 20 g
ハツ 20 g
鮭 200 g
第4週 鶏胸肉 100 g
レバー 20 g
ハツ 20 g
 白身魚 200 g
サプリ カルシウム 900 mg
ひまわり油 大さじ1
肝油
小麦胚芽
関節サプリ
カルシウム 900 mg
ひまわり油 大さじ1
乳酸菌
DHA/EPAカプセル
キノコエキス
関節サプリ

これに加えて・・・

炭水化物
玄米1/2カップずつ

野菜(肉・魚よりやや少なめ)
ブロッコリー、アスパラ、にんじん、インゲン、かぼちゃ、キャベツ、大根、トウモロコシなど

ナッツ・種子類(一握り)
ブラジルナッツ、くるみ、かぼちゃの種、亜麻仁

 

骨のおやつ(週3回)
牛リブ、牛テール

その他のおやつ
果物が大好き

キーポイント

  • 生食にするとお腹がギュルギュルなるので加熱食がメイン。
  • 肉(朝)・魚(夜)を週ごとにローテーション。魚は旬のものを使うようにしている。
  • 週末に次の週の分をまとめて作り置き。肉(魚)、野菜、ナッツ、玄米をいっぺんに大鍋に入れてかぶる程度の水でゆで、ゆで汁も一緒に1食分ずつ小分けし、ジップロックに入れて冷凍庫または冷蔵庫で保存。電子レンジまたは湯煎で温めて、サプリを加えて与える。
  • 玄米・ナッツ・種子類でミネラル分を補給
  • 平日忙しい方、ペットホテルに預けるときに最適。

体重 5 kg・5歳で健康な猫

  朝・夜ごはん おやつ
鶏肉皮付き 30 g(生)
レバー 10 g
ハツ 10 g
 
刺身 60〜80 g 鶏ネック1本
ラム肉 30 g(生)
レバー 10 g
ハツ 10 g
 
刺身 60〜80 g  鶏手羽 1本
鶏肉皮付き 30 g(生)
レバー 10 g
ハツ 10 g
 
刺身 60〜80 g 鶏ネック 1本
卵 1個
レバー 10 g
ハツ 10 g
 
サプリ カルシウム 100 mg
サフラワー油
肝油
タウリン
カルシウム 100 mg
サフラワー油
乳酸菌
魚油
ビタミンE

(表中の分量は1食分)

これに加えて・・・

野菜(少量ずつ)
昆布(ヨウ素源)、ブロッコリー、にんじん、かぼちゃ、キャベツ、きゅうりなど

キーポイント

  • 朝晩同じメニューで曜日ごとにローテーション。
  • 穀類なし。
  • 生食が中心。最近、食中毒が怖いのでレバーとハツは加熱することにした。ハツはタウリン源として与えているため、ゆで汁も一緒に与えている。
  • 刺身は白身魚、マグロ、サーモン、イワシが多い。
  • 材料は安い時に多めに購入し、1日分ずつ小分けして冷凍。

体重 5 kg・10歳で健康なシニア猫

  朝・夜ごはん
第1週 牛肉またはラム肉 200 g、ハツ 200 g、レバー 200 g、卵2個、ごはん1カップ
第2週 魚 800 g(加熱)、卵 4個、コーン 2カップ、レバーチップふりかけ
第3週 鶏肉皮付き 200 g(生)、ハツ 200 g、レバー 200 g、卵 2個、ごはん1カップ
第4週 イワシ丸ごと 800 g(加熱)、卵 4個、コーン2カップ、レバーチップふりかけ
サプリ カルシウム 50 mg
ごま油
ビタミンD
酵母フレーク
タウリン
カルシウム 50 mg
ごま油
ビタミンE
魚油
酵母フレーク
タウリン

(表中の分量は1週間分)

野菜(少量ずつ)
ブロッコリー、アスパラ、にんじん、インゲン、かぼちゃなど
骨のおやつ(週3〜4回)

鶏ネック、手羽先など

キーポイント

  • 週ごとにローテーション。朝晩同じメニュー。
  • 1週間分の材料をミキサーで混ぜ、小分けして冷蔵または冷凍。与えるときに熱湯を少々かけて、温める。
  • 魚は鮭、マグロ、サバが多い。ツナ缶を使うときも。旬のものを使うと栄養価が高く、安く入手できる。
  • 忙しくても生食を取り入れられるよう工夫したメニュー。
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