造血 複数の酵素の構成成分 ヘム鉄は吸収利用率に優れる 猫の方が必要量が高い
体内でリサイクルされる!
鉄は赤血球に欠かせないヘモグロビンの重要な成分であるほか、筋肉に酸素を蓄えるミオグロビンや細胞内で酸素からエネルギーを生成する酵素(シトクロム)の構成成分としても利用されます。
赤肉や内臓肉に多く含まれるヘム鉄と主に植物を由来とする非ヘム鉄がありますが、ヘム鉄の方が吸収されやすく、他の食事成分による干渉を受けることがありません。
欠乏により貧血や被毛のパサつき、元気消失、下痢、発育不良が見られますが、一度ヘモグロビンに取り込まれた鉄は体外に排泄されずにリサイクルされるため、ヘム鉄が豊富な赤肉や内臓肉、骨を与えている場合は欠乏症が起こることはありません。気をつけなければいけないのは、成長期、妊娠中、ベジタリアン食を与えている犬猫、出血時(ノミ・ダニ寄生、消化管寄生虫、怪我、手術など)です。
サプリメントを与える必要がある場合は、三価鉄(酸化型)よりも二価鉄(還元型)やキレート型(プロテイネート等)の方が吸収されやすくなっています。酸化鉄や炭酸鉄はほとんど吸収されません。鉄分は必要に応じて吸収されるようになっているため、過剰症が起こることはまれですが、食欲不振、便秘、体重低下などが生じることがあります。
体内の鉄は、ヘムやトランスフェリチンなどのたんぱく質と結合して存在しています。非結合型の鉄は酸素と反応しやく、組織損傷を起こします。過剰量の鉄サプリメントの投与は非結合型の鉄を増やすため注意しましょう。
給与量の目安(1日分)
犬
体重 | 5 kg | 10 kg | 15 kg | 20 kg | 25 kg |
---|---|---|---|---|---|
目安 | 2.8 mg | 4.7 mg | 6.4 mg | 7.9 mg | 9.4 mg |
上限値 | 320 mg | 540 mg | 730 mg | 910 mg | 1080 mg |
猫
体重 | 3 kg | 4 kg | 5 kg | 6 kg | 7 kg |
---|---|---|---|---|---|
目安 | 3.8 mg | 4.8 mg | 5.6 mg | 6.4 mg | 7.2 mg |
※猫では上限値は設定されていません。
※上記の値は避妊去勢済み・普通の運動量の場合。成長期、妊娠・授乳期の量はこちらのページから確認しましょう。
食品中の鉄(参考)
食品(100 g 中) | 鉄(mg) |
---|---|
脾臓(牛・ラム) | 42〜45 |
脾臓(豚) | 22 |
豚レバー | 13.0 |
鶏レバー | 9.0 |
牛レバー | 4.0 |
鶏ハツ | 5.1 |
腎臓肉(マメ) | 3.7〜4.5 |
赤肉(鴨・馬・ヤギ・鹿・牛) | 3.5〜4.3 |
ラム肉 | 2.1〜3.6 |
あさり水煮 | 29.7 |
しじみ水煮 | 14.8 |
しじみ(生) | 8.3 |
バジル粉 | 120 |
青のり | 77 |
きくらげ | 352 |
スピルリナ | 28.5 |
乾燥酵母 | 5.0〜13.0 |
胡麻 | 9.0〜10.0 |
小麦胚芽 | 9.4 |