皮膚・被毛の健康 エネルギー源 生理活性物質
オメガ6脂肪酸は、生殖や血小板の機能などに関わる不飽和脂肪酸です。皮膚バリアを改善することが知られており、ビタミンE・オメガ3脂肪酸と合わせて与えると被毛がしっとりツヤツヤに。皮膚病予防にもおすすめです。
オメガ6脂肪酸のうち、最も重要なのがリノール酸です。体内でアラキドン酸に変換されてプロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、ステロイドホルモンなどの原料となります。これらの物質は血管の収縮や拡張、筋肉の収縮、血圧の調整、胃酸分泌、体温調節、血液凝固、炎症の調節など非常に幅広い生体機能を持っており、原料となるリノール酸やアラキドン酸の大切さをうかがい知ることができます。
猫はリノール酸をアラキドン酸に効率よく変えることができないため、アラキドン酸も必須栄養素になりますが、動物性食品(卵、肉、魚)を与えていれば不足することはまずありません。
リノール酸は、鶏肉や植物油、ナッツ類に豊富に含まれています。
皮つきの鶏肉を主食に取り入れていない場合はリノール酸が不足しやすくなります。植物油で補うようにしましょう。
給与量の目安(1日分)
体重 | 5 kg | 10 kg | 15 kg | 20 kg | 25 kg |
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リノール酸 | 1000 mg | 1800 mg | 2400 mg | 3000 mg | 3500 mg |
体重 | 3 kg | 4 kg | 5 kg | 6 kg | 7 kg |
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リノール酸 | 270 mg | 330 mg | 400 mg | 450 mg | 500 mg |
アラキドン酸 | 2.6 mg | 3.6 mg | 4.2 mg | 4.8 mg | 5.4 mg |
※避妊去勢済み・普通の運動量の場合。給与量は、ライフステージ、運動量などによって変わります。こちらのページから正しい量を確認しましょう。
食品中のリノール酸(参考)
食品(100 g 中) | リノール酸(mg) |
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サフラワー油(ハイリノール) | 70,000 |
ぶどう種子油 | 63,000 |
ひまわり油(ハイリノール) | 58,000 |
ヘンプオイル | 50,000〜70,000 |
くるみ | 41,000 |
ゴマ油 | 41,000 |
米ぬか油 | 32,000 |
松の実 | 31,000 |
アーモンド | 12,000 |
オリーブ油 | 6,600 |
鶏むね(皮つき) | 2,100 |
全卵(生) | 1,300 |
食品中のアラキドン酸(参考)
食品(100 g 中) | アラキドン酸(mg) |
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乾燥全卵 | 700 |
卵黄(生) | 480 |
豚腎臓 | 370 |
豚レバー | 300 |
さば | 180 |
鴨肉 | 170 |
牛レバー | 170 |
ぶり | 160 |
鶏ハツ | 150 |
全卵(生) | 150 |
お肉やお魚を普通に食べていれば不足することはないので計算機は作っていません。猫ちゃんは完全肉食動物なので炭水化物メインの食事やベジタリアン食はNGです。
オメガ6脂肪酸の欠乏症と過剰症
リノール酸は皮膚バリアの構成成分です。皮膚はターンオーバーが盛んなため、リノール酸が不足すると一番最初に皮膚に症状が現れます。被毛にツヤがなくパサパサになったり、皮膚が乾燥してフケが出やすくなります。長期化すると、脱毛や皮膚炎、創傷治癒の遅延がみられるようになり、皮膚バリアの破壊により皮膚感染も起こりやすくなります。重度になると、血液凝固機能や免疫機能、繁殖機能に異常がみられるようになります。
脂質の与えすぎは、嘔吐、軟便、下痢などの消化器症状を引き起こします。脂質はカロリーが高いため、肥満の原因になることもあります。
また、細胞膜に取り込まれた脂肪酸は、ビタミンEによって酸化ダメージから守られています。ビタミンEが使われる量が相対的に高くなり、ビタミンE欠乏を起こす可能性があります。
豆知識
ペットフードでは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスが重要だといわれることがあります。これは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の代謝経路に同じ酵素群が使われるため、オメガ3脂肪酸の量を多くすることで、オメガ3系に酵素が優先的に使われるようにし、オメガ6脂肪酸から合成される炎症性物質を少なくできると考えられているためです。
でも毎日食材を変えたり、季節や産地によって食材に含まれる栄養素の量が変化する手作り食では、この比率を完全にコントロールすることはできません。目安として、リノール酸は過剰になりすぎないよう必要量のみを補い、オメガ3脂肪酸は必要量より多めの推奨量を与えると健康効果を実感することができます。
オメガ3脂肪酸 (n-3) うちのコに合うオイルはどれ?(動物性油脂編)