ぴーしーぶい・赤血球容積比・ミクロヘマトクリット
Packed Cell Volume の略。一般血液検査項目の一つで、ヘマトクリットとほぼ同じ。血液の赤い色を作っている赤血球は呼吸によって肺から入ってきた酸素を全身に行き渡らせ、代わりに二酸化炭素を回収して肺に戻すという役割を持っています。その赤血球細胞が血液を占める体積の割合を示すのがPCVです。一部の例外をのぞき、赤血球数(血液中の赤血球の個数)と一緒に上下します。
ヘマトクリット
= MCV × RBC / 10
実測ではなく、平均赤血球容積(MCV)と赤血球数(RBC)から計算。血液分析機が自動計算してくれる。
PCV
毛細管という細いチューブに血液を入れて遠心分離した赤血球の体積を目で測る。ヘマトクリットで異常値が出たらPCVで確認。
血液の濃さ 貧血・出血・溶血・ビリルビン血症の有無
異常があった場合は、ヘモグロビン濃度、MCV、MCHCなどと合わせて判定を行い、必要に応じて血液塗抹検査などの他の検査を行います。
手作り食との関係
肉中心の手作り食を食べている犬猫では、赤血球数・ヘマトクリット・PCVが高くなる傾向にあります。手作り食、特にローフードではタンパク質やヘム鉄といった赤血球の材料や造血因子を壊さずに補うことができるためです。PCVの上昇は好ましい変化であり、ほとんどは正常範囲内の変化であるためあまり気づかれることはありません。
- 犬 35〜57%
- 猫 30〜45%
基準値は検査機器や地域によって異なることがあるため、検査を行った病院の数値を参考にしましょう。
基準値より高くなるのはどんなとき?
基準範囲内で高め〜基準範囲よりやや高め
- 肉中心の手作り食を食べている犬猫
- 特定の品種(ダックスフンド、グレイハウンド、短頭種)
- 高山地帯に住む犬猫
- 脱水(嘔吐、下痢、熱射病など。総蛋白も上昇する)
- 採血時に暴れた(総蛋白は正常)
- 高用量のステロイドの長期投与
基準範囲を若干〜大きく上回る
- 急性出血性胃腸炎(総蛋白はそれほど上昇しない)
- 原発性真性赤血球増加症(多血症)
骨髄における赤血球産生の異常増加またはエリスロポエチン受容体異常。エリスロポエチン濃度は正常または低下。
- 二次性真性赤血球増加症(多血症)
エリスロポエチンの増加に起因。心奇形、肺疾患、ヘモグロビン症、短頭種、高地に住む犬猫、鼻内腫瘍などでは、低酸素血症のためエリスロポエチンの産生が刺激されます。この場合は動脈血酸素分圧が低下。腎腫瘍、水腎症などの腎疾患、腫瘍随伴症候群、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症によっても生じることがありますが、この場合は動脈血酸素分圧は正常です。
基準値より低くなるのはどんなとき?
- 出血
- 貧血(再生性・溶血性・非再生性):栄養不良、腎不全、感染症、中毒(タマネギなど)、自己免疫性疾患、内分泌系疾患、消耗性疾患、骨髄毒性のある薬物など原因は多岐にわたる。他の検査結果と合わせて鑑別を行う。
- 加齢により減少する傾向がある
- 白血球の増加による相対的な減少
- 加齢により減少する傾向がある
- 妊娠中の犬