獣医師による手作り食・自然療法ガイド

タウリン

 心臓   目   発育   神経   調理や冷凍保存中に失われる 

猫はタウリンを作ることができない

タウリンは、アミノ酸に似た化合物で、神経伝達物質や神経修飾物質として働き、体温調節や心臓の機能、網膜の構造維持、胆汁酸の抱合に欠かせない物質です。また、解毒剤や抗酸化剤として作用するとも考えられています。

犬はアミノ酸のメチオニンやシステインから十分量のタウリンを合成することができますが、猫はごくわずかしか作ることができないため、食事やサプリで補ってあげる必要があります。タウリンの欠乏により網膜変性、拡張型心筋症、雌猫の繁殖障害、子猫の発育障害などが起こることが報告されています。

犬では、欠乏症が起きることはほとんどありませんが、アメリカン・コッカー・スパニエルやゴールデン・レトリーバー、ニューファンドランドを含む一部の犬種でタウリン欠乏症が疑われる拡張型心筋症、網膜症、繁殖障害が報告されています。ベジタリアン食はタウリンの材料になるメチオニンやシステインの量が少ないので気をつけましょう。

冷凍保存や加熱調理で失われる

タウリンは、マグロ(赤身)、ラム肉、七面鳥ひき肉、サバ、牛タン、鶏ハツ、レバーなどの動物性食品に含まれていますが、冷凍保存中水を使った調理によって溶け出してしまいます。生のまま与えるか、ごく少量の水を使って軽く調理し、使った水を一緒に与えるようにしましょう。

MEMO
米ぬか、焦がした肉や魚(メイラード反応)はタウリンの吸収を阻害することが知られています。

給与量の目安(1日分)

体重 3 kg 4 kg 5 kg 6 kg 7 kg
目安 20〜100 mg 25〜120 mg 28〜140 mg 32〜160 mg 36〜180 mg

※避妊去勢済み・普通の運動量の場合。給与量は、ライフステージ、運動量などによって変わります。こちらのページから正しい量を確認しましょう。

食品中のタウリン(参考)

食品(100 g 中) タウリン(mg)
マグロ赤身 279.8
ラム肉シチュー用 215.7
七面鳥ひき肉 209.5
サバ 207
鴨もも肉 178
牛タン 175.2
サーモン(大西洋産) 130
鶏ハツ・レバー 117.9
豚レバー 85.5
豚腎臓 77.3
牛レバー 68.8
馬肉 31.4

タウリン ➜ 食品換算