プレバイオティクス・水溶性繊維・不溶性繊維・動物性繊維・非デンプン性多糖類(NSP)
食物繊維は大きく分けて4種類あります。いずれも普段の食事で十分な量が摂取できますが、毛玉、便秘、軟便、肥満、糖尿病、膵炎などの問題が生じたら、必要な食物繊維を足してあげましょう。
1. 動物性繊維
自然乾燥トライプ。臭いけど善玉菌も補給してくれます。
鶏の皮は手軽な繊維源。
動物の皮、腱(スジ)、腸管(トライプ・ホルモン)などはコラーゲンなどのたんぱく質繊維が豊富です。
完全肉食のチーターなどのネコ科動物で、腸内環境が改善することが報告されています。飼い犬や飼い猫ではまったく研究が行われていない分野ですが、ペット用のおやつの腱やローハイドでしつこかった便秘が治ったり、毛玉を吐かなくなるといった効果を実感している飼い主さんも多いのではないでしょうか。鶏皮やトライプなどでも同じような効果が得られることがあります。
野菜や穀物などの植物性繊維の消化が苦手な猫ちゃんに特におすすめです。
鶏皮、スジ、豚足、豚耳、トライプ(胃)、ホルモン(腸管)など。ペット用のおやつを選ぶときは無添加無着色で自然製法のものを選びましょう。
2. プレバイオティック繊維
犬猫が消化できない植物由来の繊維(糖)で、腸内細菌の餌となって短鎖脂肪酸を生成。短鎖脂肪酸は、腸細胞のエネルギー源になり、電解質の吸収、腸pHの調節、粘膜の血流促進、細胞分裂や免疫機能の調節などの作用があります。
サプリメントにはイヌリン、マンナンオリゴ糖(MOS)、フラクトオリゴ糖(FOS)、スリッパリーエルム、キトサン、ラクツロースなどがありますが、普段の食事でも根菜などの野菜や果物から摂取することができます。
主な機能
タンポポの葉、アスパラガス、アーティチョーク、ごぼう、バナナ、ヤーコン、りんごなど
3. 不溶性繊維
セルロースなど、動物にも腸内細菌にも利用されにくい植物由来の繊維。胃の中で水分を吸収して膨張し、食物が胃腸を通過する時間を早め、便をカサ増しすることで便秘を改善します。食事中の糖分や脂肪分の吸収をゆるやかにするので、糖尿病や膵炎、胆のう疾患、脂質代謝障害の食事療法にも利用されます。
与えすぎるとたんぱく質などの栄養素の消化率が低下し、便が臭くなったり、おならが気になるようになることがあります。便の回数が増えたり、逆に便秘になることもあります。
主な機能
- カロリーを上げることなく食事量を増やす
- 食後の血糖値上昇を抑える
- 脂肪吸収を抑制
- 便秘を改善
- 肥満予防
- 腸のおそうじ(毒素や古い胆汁酸、アンモニアを吸着)
4. 水溶性繊維
水溶性繊維は消化管の中で水を吸収してジェル状になる繊維。プレバイオティクスとしても働くものもたくさんあります。不溶性繊維とは反対に消化管内における食物の通過時間を遅める傾向があり、ジェルが糖分や脂肪分を包み込んで吸収速度をゆるやかにします。
与えすぎるとミネラルやタウリンなどの栄養素の吸収が阻害され、食物が胃に停滞したり、便がゆるくなることがあります。
主な機能
- 満腹感を与える
- 食後の血糖値上昇を抑える
- 脂肪吸収を抑制
- 便の硬さを調節
- 毛玉ケア
- 粘膜保護
- 腸のおそうじ(毒素や古い胆汁酸、アンモニアを吸着)
与えかた
- 4種類の食物繊維を少しずつ毎日の食事に取り入れるようにしましょう。
- 食物繊維に対する反応は一頭一頭異なるので、サプリメントを使用する場合は、様子を見ながら量を加減しましょう。
- 炎症性腸炎、腸内細菌異常増殖症候群(SIBO)など、一部の疾患では食物繊維の摂取により症状が悪化する場合があります。
豆知識
腸内細菌の数は全身の細胞数よりも多い!
犬猫の食事は犬猫自身だけでなく、何十億という数の腸内細菌も養っています。腸内細菌は、犬猫が自分で作れない栄養素やエネルギーを合成したり、免疫バランスを整えたりとさまざまな役割を担っています。手作り食を作るときは腸内細菌の存在も忘れないようにしましょう。
プロバイオティクス (善玉菌)