獣医師による手作り食・自然療法ガイド

カレンデュラ軟膏の作り方

かゆみや湿疹、外傷、ホットスポットなど、さまざまなスキンケアに応用できる基本のカレンデュラバームの作り方をご紹介します。私たちは年に数回まとめて作っておき、これをベースにしてハーブエキスや精油を加えて処方しています。犬猫はもちろんのこと、飼い主さんご自身でもお使いいただけます。

手作りは無理、という方は市販のクリームやハーブエキスを使った方法を紹介したこちらのページをご覧ください。

カレンデュラクリームの作り方(クイック法)
注意
カレンデュラはキク科植物です。キク科植物にアレルギーのある人は気をつけましょう。犬猫では菊アレルギーは非常にまれですが、猫でアレルギーが疑われる皮膚症状が報告されています。

材料

0.5〜1Lくらいのガラス容器(広口)1〜2個
カレンデュラの花のドライハーブガラス容器の半分
好みのオイル(ホホバ、オリーブ、アーモンドなど)ガラス容器と同量
ビーズワックス25 g
ガーゼまたはさらし木綿数枚
軟膏入れまたはガラス容器250 mL分

ハーバルオイルの準備

まずはオイルを使ってカレンデュラのドライハーブからエキスを抽出します。常温で4〜6週間かけてじっくり抽出させる伝統的な方法とオイルをゆるやかに温めて数時間で抽出させる方法の2通りがあります。お好みで選んでください。

オイルもカレンデュラもオーガニックがおすすめです。カレンデュラは、自分で育てた花を使ってもよいですし、ハーブ専門店で購入することもできます。乾燥ハーブの方が水分が少なく、雑菌が生えにくいので長持ちします。ハーブの量はオイルにきちんと浸っている限り好きなだけ増やすことができます。その分、香りの強いオイルに仕上がります。

鉢植えで育てる家庭常備薬(2)

抽出後のオイルは、バーム作りの他にも犬猫の薬浴剤や人用のマッサージオイル、スキンケアオイルとしても使うことができます。

じっくり抽出

  1. 清潔なガラス容器の半分くらいまでハーブを入れてオイルをたっぷり加えます。ハーブがオイルを含んで膨れるので、ボトルの上部は1〜2 cm くらいあけておきましょう。
  2. スパチュラで混ぜ、蓋をします。日の当たる窓辺にボトルを置き、1日1回ボトルを優しく動かして中身を混ぜながら4〜6週間浸透させます。
  3. ガーゼ、さらし木綿またはチーズクロスで漉してオイルを別の容器に移し替えます。ガーゼの上に残ったハーブもぎゅっと絞りましょう。
  4. 冷暗所で半年から1年間保存することができます。ビタミンEを加えるとより長持ちします。

温めて抽出

  1. ヨーグルトメーカーやスロークッカーをお持ちの方は、40〜60˚Cに設定し、ハーブとオイルを入れて2〜3時間温めます。直接ではなくガラス製のボウルや容器に入れるとよいでしょう。
  2. ヨーグルトメーカーやスロークッカーがない場合は、湯煎を行います。ハーブとオイルをガラス製またはシリコン製、ステンレス製のボウルまたは小鍋に入れます。とってのついたものがベスト。
  3. ボウルより一回り大きい鍋に水を1/4ほど入れて火にかけ、沸騰させます。
  4. 鍋の上にボウルを置きます。ボウルが熱湯に直接あたらないようにしましょう。ボウルが鍋を密閉しないよう注意します。
  5. 弱火にしてボウルを蓋でおおい、そのまま2〜3時間抽出します。ときどきスパチュラでオイルとハーブを混ぜ、鍋のお湯が少なくなったら足すようにしましょう。
  6. オイルに花の色と香りが移れば抽出完了。ガーゼ、さらし木綿またはチーズクロスで漉してオイルを別の容器に移し替えます。ガーゼの上に残ったハーブもぎゅっと絞りましょう。
  7. 冷暗所で半年から1年間保存することができます。ビタミンEを加えるとより長持ちします。
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蒸し器を使うこともできます。上段にオイルとハーブをいれたガラスボウルをいれて2〜3時間。水蒸気が落ちてオイルに入らないよう鍋の蓋はせず、ボウルをアルミ箔で軽くおおいます。水がなくなりやすいので気をつけて。

軟膏の作り方

次はいよいよ軟膏作りです。

ビーズワックスの量を加減することで、固さを自由に調節することができます。ジュクジュクした膿皮症やホットスポットができやすい子には、皮膚呼吸を妨げないようビーズワックス少なめのゆるい軟膏タイプがおすすめ。草むらに突っ込んだりしてすり傷を作りやすいタイプの子には、しっかりと傷をおおえるようビーズワックス多めの硬めのバーム状がおすすめです。

使用するオイルの種類やハーブの量によっても固さが若干変わりますが、固めに作っておくと、出来上がり後にハーブエキスやオイルを加えて柔らかくすることができます。

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まずはオイル1カップあたりビーズワックス 25 g を基本に。

ビーガンの方はビーズワックスの代わりにカルナバロウを準備してください。

  1. ハーバルオイル1カップをガラス製またはシリコン製のボウルか小鍋に入れます。
  2. ビーズワックス 25 gを加えます。
  3. 大きめの鍋に水を1/4〜1/2ほど入れて火にかけ、沸騰したら弱火にします。
  4. ボウルの底をお湯につけ(蒸気にあてる程度がベスト)、ビーズワックスが溶けるまでスパチュラでかき混ぜながら湯煎します。完全に溶けたら、保存用のガラス容器や軟膏入れに移し、冷まします。
  5. 冷暗所で半年から1年間保存可能。
固さチェック!
  • ビーズワックスが完全に溶けた時点でスプーンの先に少量をすくい、冷凍庫で急冷させると、固まった時にどれくらいの固さになるかチェックすることができます。
  • 固すぎる場合はオイルを加え、柔らかすぎる場合はビーズワックスを加えましょう。

使い方

外傷や皮膚炎に

カレンデュラは炎症を抑制し、皮膚の再生を促します。軽度の場合はそのままでも十分効果がありますが、細菌や真菌感染が気になる場合は、エキナセアエキスやマヌカ精油、ユーカリ精油を加えるといいでしょう。やけど、表皮剥離、潰瘍など、ちょっと重症かなと思ったらツボクサエキス(ゴツコラ)を加えます。

かゆみが気になる場合は、鎮静効果のあるカモミールエキスやラベンダーエキスを加えます。エキスがない場合は精油でも代用できます。

加える量の目安

カレンデュラ軟膏(バーム)10 g あたり

  • ハーブエキス 1 mL(x 3種類程度まで)
  • 精油 1 滴(x 3種類程度まで)

精油を加えたら、皮膚に浸透するまでなめないように気をつけてくださいね。シャンプーや薬浴、食事療法など、総合的な対策も忘れずに。

飼い主さんもリップクリームやハンドクリームなど、普段のスキンケアに活用してみてください。小さめの軟膏容器に入れると持ち歩きや災害用の非常袋に便利です。