獣医師による手作り食・自然療法ガイド

カレンデュラクリームの作り方(クイック法)

市販のクリームやハーブエキスを利用して、皮膚炎や外傷に使えるクリームを作りましょう。皮膚の再生と修復を促すカレンデュラをベースにしたクリームがあれば、ハーブや精油を足していくだけで、かゆみやケガ、膿皮症、ホットスポットなど、さまざまな場面で使うことができます。

ハーブ栽培が趣味の方は、自分で育てたカレンデュラを使ってオリジナルの軟膏を作ることもできます。

鉢植えで育てる家庭常備薬(2) カレンデュラ軟膏の作り方
MEMO
カレンデュラはキク科植物です。キク科植物にアレルギーのある人は気をつけましょう。犬猫では菊アレルギーは非常にまれですが、猫でアレルギーが疑われる皮膚症状が報告されています。

基本のクリーム

まずはベースになるクリームを準備します。

  • 市販のクリームやバーム 10 g
  • カレンデュラエキス(チンキ剤) 1 mL

クリームやバームは、パラベン(防腐剤)を使用しておらず、なるべくプレーンなものを探します。手作りハーブ専門店や自然食品店などで購入できるでしょう。あまり余分なものが入っていないビタミンEクリームやアロエクリームでもOKです。病院で調剤用の軟膏やクリームを分けてもらっても。

これにカレンデュラエキスを足してください。内服にも使えるアルコールチンキ剤(0.5〜1 g/mLの濃度)がおすすめです。どうしても見つからない場合は、精油1滴を代わりに使います。ビタミンEサプリをお持ちの方は1滴加えるといいでしょう。

応用編

外傷に

カレンデュラは皮膚の再生を促すだけでなく、マイルドな消毒効果と抗炎症作用があります。軽い擦り傷や引っかき傷、虫刺されなら基本のクリームだけで大丈夫。患部を洗浄して乾かしたらクリームを塗ります。1日3回くらい塗布してあげてください。熱がこもった傷には、冷ましたカレンデュラティーで1日1回洗浄または湿布をし、乾燥させてからクリームを塗布するとよいでしょう。

細菌・真菌感染に

基本のクリームに、ユーカリまたはマヌカの精油を1滴ずつ足します。両方足してもOK。1日2〜3回塗布します。塗布後はしばらくなめないよう注意してください。精油に敏感な子にはエキナセアエキス(1 mL)がおすすめです。定期的なシャンプーや薬浴も忘れずに。

深在性の膿皮症や膿瘍の場合は適切な抗生物質でしっかりと治療を行うことも大切です。中途半端な抗生物質治療は悪化や再発、耐性菌の原因になるので気をつけて。

ホットスポット・かゆみのある湿疹に

かゆみを伴う湿疹や膿皮症、ジュクジュクしたホットスポットには、基本のクリームに鎮静効果のあるカモミールエキスとラベンダーエキスを1 mLずつ加えます。ちょっとゆるめのクリームになりますが、それくらいがちょうどよいです。ステロイド軟膏の代わりに使ってくださいね。舐性皮膚炎や肢端皮膚炎にも使えます。

カレンデュラティーやカモミールティーを使った薬浴や湿布もおすすめ。

エキス(チンキ剤)が手に入らない場合は、精油1滴で代用することができます。かゆみには効果が弱くなりますが、細菌による二次感染の予防に役立ちます。

潰瘍に

皮膚がただれてしまった場合は、基本のクリームに皮膚の再生を促すゴツコラ(ツボクサ)エキスやコンフリーエキス(葉)を1 mLずつ加えます。マヌカハニーでおおい、包帯をしておきましょう。1日1〜2回、塗布と包帯交換を行います。

注意
コンフリーは内服で肝障害を起こすことがあります。なめないよう注意しましょう。
犬と猫で注意が必要なハーブ・生薬

獣医師より

皮膚炎を繰り返す場合は、全身の状態をチェックすることもとても大切です。

例えば、日和見感染が起こりやすい場合は、免疫力が低下していたり、肝臓や甲状腺の機能が低下してきていることがよくあります。目に見えている皮膚の症状を治療するだけでなく、根底にある原因を見つめることで皮膚炎を起こしにくい体を作り、将来的にも他の病気を防ぐことができます。

衛生環境や食事内容を見直し、内分泌系の異常やアレルギーがないか、免疫力が低下していないか、かかりつけの獣医さんに相談しましょう。

よくある質問

大丈夫です。

クリーム 10 g あたりエキス2種類(1 mL x 2)または精油3種類(1滴 x 3)を目安に、お好きなものを足してください。エキスと精油を一緒に使っても大丈夫です。