食事でできることは他にもあります。状態やステージに合わせて取り入れていきましょう。
カロリー摂取量を維持する
予防 ステージ1・2・3・4 猫 犬
慢性腎臓病の食事療法では、リンやタンパク質の量にこだわるだけではなく、食欲を維持し、必要なカロリーをきちんと摂取してもらうことも大切です。せっかくリンの量を減らし、必要なタンパク質量を満たしていても、カロリーが足りなければ、筋肉や臓器、免疫系に必要な生体タンパク質がエネルギー源として利用されてしまいます。
そのため、手作り食もペットフード療法食もどうしても受け付けてくれない場合は、まずは食べてくれるフードを探すことが先決になります。そのフードがリンの制限をしていない場合はリン結合剤を加えたり、低品質のタンパク質が使われている場合は新鮮な肉や魚を足してあげます。腎臓によい食材やサプリメントを加えてもよいでしょう。
食べてくれるフードが見つかったら、少しずつ(1口ずつ)品質のよいフードや手作り食に切り替えていきましょう。市販のペットフードは、嗜好性をあげるためにさまざまな添加物が使用されており、それが病みつきになってやめられない子も多いため(特に猫)、根気が必要です。
腎臓病の予防として手作り食を考えている方は、肥満を予防することも非常に重要です。カロリーの与えすぎにも注意しましょう。
善玉菌を増やす
予防 ステージ1・2・3・4 猫 犬
腸内の善玉菌を増やすことは、尿毒症の予防に役立ちます。腸内細菌が窒素や窒素化合物を取り込むことによって、血流中の窒素化合物の量が少なくなるためです。善玉菌が増えると、タンパク質給与量を増やしてもBUN値が上がりにくくなります。
犬用または猫用の乳酸菌製剤と一緒に、善玉菌のエサになるプレバイオティクス繊維(FOS、ビートパルプなど)も与えると効果的です。
- アスパラガス
- アーティチョーク
- ゴボウ
- チコリーの根
- タンポポの葉など
貧血の予防・改善
予防 ステージ1・2・3・4 猫 犬
腎臓が産生するエリスロポエチンは、骨髄で血液細胞の分化を促す増血因子です。慢性腎臓病が進行すると、エリスロポエチンが不足し、貧血を起こすようになります。
エリスロポエチンの医薬品も開発されており、鉄剤とともに投与することで貧血の改善に効果があります。ただし、製剤によっては、赤血球に対する抗体が誘導され、数回しか使用できないものがあります。輸血や医薬品の使用は、貧血が進行した場合にとっておき、軽度のうちはなるべく食事で補ってあげるようにしましょう。
腎臓肉 + レバー
(それぞれ体重 1 kg あたり 1日 1〜5 g)
腎臓肉にはエリスロポエチンが含まれているのでなるべく生で与えましょう(生ものを与える際の注意点はこちらから)。レバーは血液を作るのに必要な鉄分やビタミンなどを補ってくれます。骨髄を含む生骨もおすすめです。
骨給与ガイドそのほか、造血を助ける食材には、赤身肉、マグロ、イワシ、緑色葉物野菜、パセリ、タンポポの葉、山芋などがあります。
ナトリウムの制限
高血圧 猫 犬
犬と猫の慢性腎臓病におけるナトリウム(食塩)摂取量の低減の効果については、まだ明らかになっていません。
食塩を食事に混ぜることで飲水量が増えるという報告もあれば、血中リン濃度やBUN、クレアチニンを上昇させる、低カリウム血症を起こす、シュウ酸カルシウムなどの結石ができやすくなるという報告もあります。逆にナトリウム量を制限すると尿の濃縮能が低下するという報告もあります。
私たちの経験では、塩分が高い食事を与えていた場合を除き、特にナトリウム摂取量を変更する必要はありません。食塩を通常より多めに与えていたり、塩分の高い食材(塩、味噌、醤油、人用のふりかけ、塩蔵わかめ、佃煮など、主に人用の加工食品)を常用していた場合は、少しずつ減らした方がQOLが改善し、長く維持できます。塩分を減らす場合は、体にショックを与えないよう徐々に減らしていきましょう。
その他、高血圧を併発している場合もナトリウム量の制限が役に立つことがあります。
ナトリウムは、生体の正常な機能に必要ですから、ナトリウムの低い食材を探して極限まで減らす必要は全くありません。肉や魚、野菜などに含まれている通常の量のナトリウムは犬や猫の体にとっても必要なものだということを覚えておきましょう。
カリウムの補給
低カリウム血症 猫
慢性腎臓病に伴う低カリウム血症が主に猫でみられることがあります。通常は、検査でわかった時点で病院で点滴による補正が行われるか、カリウム薬が処方されます。
カリウム薬は、数日の投与で効果が出ますが、時に嘔吐や食欲不振を起こすことがあります。その場合は、カリウム濃度が高いココナッツウォーターやココナッツミルクを薄めて水や食事に混ぜると、体の水和状態の維持に役立ち、点滴を行う回数を減らすことができます。ただし、ココナッツウォーターは糖分が、ココナッツミルクは脂肪分が高いので、併発症がある場合には注意が必要です。
また、カリウム薬や点滴などによりカリウムの補正が十分にできない場合は、腎臓病以外の疾患が併発している可能性があります。
- ふるえ・筋肉の痙攣
- 起立不能
- こわばり
- 力が入らない(特に後肢)
- 便秘
- 食欲不振
- 元気消失など