クッシング症候群の根底にあるのはインスリン抵抗性。ハーブ療法はインスリン抵抗性の緩和に大きく役立ちます。中でも漢方薬の効果が高く、食事療法との併用で医薬品を使うことなく症状を緩和し、コルチゾール濃度を低下させることができます。
コンテンツ
ハーブ療法を始める前に
クッシング症候群およびクッシング予備群は食事療法に良好な反応を示します。食事療法を行わずに漢方薬やハーブを使用しても、効果が出るのが遅く、部分的な効果しか得られないことがあります。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の食事療法副腎皮質ホルモン合成阻害薬をすでに投与している場合は、投与量を減らす必要がでてきます。病院で検査を行いながら、獣医師の指示に従って投与量を調節してください。
漢方薬
漢方医学では、クッシング症候群のほとんどは湿熱といって、体に余分な物が溜まって排泄されない実証という状態に当てはまります。また、湿熱が溜まる原因として、体に合わない食事による脾気虚(胃腸虚弱)が必ずといっていいほど背景にあります。そのため、胃腸機能を補いながら、内湿と熱の両方を取り去る漢方薬が最適です。
クッシング症候群の第一選択肢。どれにしようか迷ったらまずこれを。クッシング症候群の症状に加えて、ときどきの嘔吐、軟便など胃腸の弱りが気になる子に向いています。治療の初期から正常化後のメンテナンスまで、長期的に使用することができます。クッシング予備群にもおすすめ。
- インスリン抵抗性をすみやかに改善
- 全身炎症を緩和
- 胃腸機能をサポート
- ALPを低下させる
- 抗腫瘍効果
症状の緩和やALPの低下は比較的早く現れますが、コルチゾール濃度やACTH刺激試験の完全な正常化には数週間から数ヶ月かかることがあります。
四妙散クッシング症候群またはクッシング予備群で、肝酵素(ALT)の上昇が顕著な場合や感染症が併発している場合には、四妙散ではなく、竜胆瀉肝湯がおすすめ。体力が弱ってきているのに落ちつきがない、または、興奮しやすく、食欲、飲水量、尿量が増えている子に向いています。
インスリン抵抗性に対する作用は弱いため、落ち着いてきたら四妙散に切り替えて維持しましょう。
- 清熱(抗菌・抗炎症作用)
- 柴胡、当帰が肝臓の炎症を鎮め、肝酵素値を下げる
- 湿熱を取り去る
- 免疫力アップ
- 非常に暑がり
- イライラ・興奮しやすい、落ちつきがない、キレやすくなった
- 目が血走っている
- 外耳炎、膀胱炎、皮膚炎など感染症がある
- 食欲、飲水量、尿量のいずれかが増えている
- 舌の色が赤いまたはレンガ色
四妙散と同様にインスリン抵抗性を緩和してくれる漢方薬ですが、炎症性疾患の併発がなく、体力や機能の低下が目立つ虚証タイプにおすすめ。
- インスリン抵抗性を緩和(軽度)
- 体を温めて代謝を促進
- 寒がり、冷えが気になる、寒がりと暑がりが交互に現れる
- いびきや逆くしゃみ、目やにが気になる
- 疲れやすい
- 軟便・下痢になりやすい
- 便や嘔吐物に未消化物が入っていることがある
- 多食と多飲のどちらか一方しか見られない
- 舌が薄いピンク色で湿っている
当帰芍薬散、三仁湯など、他の漢方薬が効果を示すこともあります。迷う場合は漢方専門の獣医師に相談しましょう。
ハーブ
ハーブ | 作用 | 用量 |
イチョウ葉 | コルチゾール濃度を低下。 症状に合わせてミルクシスル、ダンデライオン、レーマニアなどと等量で混ぜて使用。 | 2 mg/kg・1日3回 |
木瓜(もっか) | 被毛の再生に。 | 漢方薬に1:5の割合で混ぜる |